活動便り

留学生支援

留学生便り 「ベルギー留学体験記」

2008-2009 ロータリー財団国際親善奨学生 服部敬弘

 2008 年の秋からベルギーのルーヴァンカトリック大学に留学させていただきました。はじめに、留学するにあたっての手続きに悩まされました。2008 年初頭には同大学への留学が決まっていましたが、ビザ取得に必要な入学許可証がなかなか届かず、日本から直接問い合わせるなど大変でした。また、わたしはかつてフランスに留学した経験がありますが、フランスのビザに比べて、ベルギーのビザは、手続きがより複雑でした。ビザの取得のために外務省や各都道府県の警察本部にまで出向く必要があり、ビザ取得にも多くの時間を取られることになりました。それでも、日本のカウンセラーの方や、ベルギーの受入ホストの方に相談に乗っていただき、何とか乗り切ることができました。

 ベルギーに出発したのは秋でした。あらかじめ受入ホストの方と何度も連絡を取り合い、最寄の駅まで迎えに来ていただきました。空港まで迎えに行くと言っていただきましたが、ご高齢であったので、駅までにしていただきました。その後は、早速当日のうちに、アパート、入学手続き、銀行口座の開設など、おおよその事務的手続きを済ませることができました。これには本当に驚きました。フランスへ留学した当時は、この生活をはじめるのに基本的な条件を整えること自体が、大きなハードルだったからです。フランスの場合、語学の問題もありますが、ひとつのことを済ませるのに、いろいろな窓口に回されることも多く、なかなか解決しません。そして、その問題を解決するのに、一体どこの誰に聞けばよいのかさえ分からない状態で、途方に暮れたことを覚えています。しかし、ベルギーは全く違っていました。現地の方と一緒に行って手続きをすることが何よりプラスになったと思います。

 いわゆる滞在許可証の問題もすぐに解決しました。ベルギーの場合、居住の実態確認のために警官が直接居住先を訪れ、この警官に書類にサインをもらわない限り、滞在許可証が下りません。ビザの取得とおなじく、制度自体は大変厳格で複雑ですが、それを進める事務処理の手続きは、大変スムーズで合理化されているという印象を受けました。この点、フランスとは逆なのかもしれません。

 その後無事、大学生活が始まりました。ルーヴァンカトリック大学は、その名の通りカトリックの大学で神学部もあります。建物の設備は整っており、フランスの国立大学と全く違います。大学生の数が少ないせいもあるかもしれませんが、日本の私立大学と同じような印象を受けました。

 町も大変清潔で、危険なところは全くありませんでした。ショッピングモールに隣接しており、また近くにはジョギングができる小さな湖もあり、その周辺には森も広がっています。大学寮の近くは別荘のような家が立ち並び、住環境としては申し分ありませんでした。

 週に1度はロータリーの例会に参加させていただき、いろんな方と交流し、お話を伺うことができました。特に月に一度はロータリアンの方の家で交流会があります。毎回、例会の会場よりも広い邸宅で、プール付の庭を前にカクテルパーティが開かれました。ロータリーとは無関係に、一人で留学していては体験できないことの連続でした。

 1年はあっという間に過ぎていきました。例会でのスピーチも10回近くを数え、様々な人と出会い、多くのことを学んだ1年でした。おそらくもう2度とこのようなことは経験できないかもしれません。お世話になったカウンセラーの方や受入ホストの方々があって初めて実現できた経験です。今はまだこの経験を十分振り返る余裕がありませんが、今後に生かすことができればと思います。