活動便り

留学生支援

卓話 「私達の文化―日本とモンゴルの文化と歴史について」

発表者:A JISAIHAN(アジサイハン)
(カウンセラー:舩橋 輝夫 会員)

 米山奨学生となってからちょうど一年半が経過したこの日に、「私達の文化」というテーマで、留学生活で経験した日本・モンゴル・中国の文化の共通点と違い、またその背景にある理由について、歴史資料などを用いて解説しました。内容は「言葉の架け橋:日本語・モンゴル語・中国語の共通点と違い」、「外見の共鳴 : モンゴルと日本の身体的特徴」、「歴史の響き : 元寇から相撲まで、日本のモンゴルへの感情の変遷」の 3 つの部分に分けて発表しました。

 最初に「言葉の架け橋」では、日本語、モンゴル語、中国語の共通点と違いについて説明しました。日本語を学び始めた頃、漢字が日本語と中国語の両方で使われていることに気づきましたが、日本語の文法がモンゴル語とほとんど同じであることに驚きました。そこで最初は、モンゴル語で考え、それを中国語の漢字を使って日本語の作文を書いていました。この経験を通じて言語の歴史に興味を持ち、中国語の最も古い文字記録は紀元前 2500 年頃の甲骨文に遡り、日本語の最古の文字記録は 8 世紀に登場したことを学びました。一方、モンゴル語の文字が歴史に現れたのはさらに遅く、13 世紀になってからでした。日本語は長らくどの語族にも分類されていませんでしたが、近年の研究では、ツングース語族、モンゴル語族、チュルク語族などを含むアルタイ語族に、日本語や琉球語、朝鮮語族を加え、「トランスユーラシア語族」と呼ばれるようになっています。モンゴル語、中国語、そして日本語は長い歴史の中で互いに影響を与え合い、深い関係を築いてきました。新しい言語を学ぶことは、その背後にある歴史を理解することであり、非常に興味深く感じました。

 次に、モンゴルと日本の外見的共通点、特に「蒙古斑」について説明しました。なぜ「蒙古斑」と呼ばれるのか、その歴史的背景を探ると、明治時代以降、日本にいたドイツの医師ベルツ博士が関与していることが分かりました。彼は草津温泉の発見者としても有名ですが、日本の赤ちゃんを研究する過程で、初めてお尻に青いあざがあることを発見しました。ヨーロッパでは「モンゴロイド」という概念が一般的に使用されていたため、彼はその名を基に「Mongolian Spot(蒙古斑)」」と命名しました。この名称は日本語や中国語に翻訳されて広まりましたが、実際には最初に発見されたのは日本の赤ちゃんであり、モンゴルの赤ちゃんではなかったことが分かりました。

 最後に、日本とモンゴルの歴史的関係の変遷について解説しました。元寇の時代、日本はモンゴル軍の侵攻に強い恐怖と敵意を抱いていましたが、時代が進むにつれてその感情は徐々に変化し、現在では友好関係が築かれています。この変遷は、元寇から相撲界におけるモンゴル選手の活躍まで、様々な歴史的出来事を通じて日蒙間の感情の変化が進んだことを分かりました。現在の日本とモンゴルの関係は非常に平和で友好的であり、ロータリーの理念にもあるように、平和と友好は何よりも大切です。今後も自分の力を尽くし、この世界がさらに平和と友好に満ちたものとなることを心から願っています。